5/4~5/7 ACC長距離航海コース実施
メイストームが吹き荒れた4日間のACC実習航海から無事に帰港しました。受講生の皆さん、本当にお疲れさまでした。
1~2日目 田尻マリーナから阿尾港(和歌山県)
AとBの両チームに分かれ、2時間交代のワッチを組んで2230時に出航します。SSW、20ノットの風に合わせてレギュラージブと1ポイントリーフにして、クロースホールドで友が島水道へ向かいます。オフショアの風なので、高波を避けるために沿岸寄りのコースをとります。
友が島水道を越えるとその恩恵がなくなり、紀伊水道に押し寄せる高波の中を大きくピッチングを繰り返します。ワッチ交代しても横たわることができません。灯台を確かめベアリングフイックスで現在位置を作図します。その間にも行き合う大型船を見張り、コースを変更しなければなりません。2隻の本3に挟まれましたがタッキングを繰り返し逃れます。
和歌山県側の沿岸に沿って北上を続けると、さらに風は35ノットへと強まりました。メインを2ポイントリーフへと縮帆します。明るくなると、ようやく日の岬が視認できます。
ビルジが床上まで溢れてきました。ヒールが大きくトイレの手洗いから海水が逆流したのです。ヒーブ・ツーにしてビルジポンプを作動させましたが排水には35分もかかりました。
阿尾港は目の前です。ほっとしたのもつかの間、ジャイブした途端にメンスルが大きく破れました。チーム全員で破れたメンスルを取り込み、エンジンをかけて入港します。港内に入るとアンカリングを実習します。着岸して艇を片付けて、岸壁にメンスルを広げます。破れたメンスルは全員が参加してリペアテープで修理を行います。
迎えの車が来たので宿に入り早速交代で温泉につかります。ほっとする間もなく、夕食前には宿題を片付けなければなりません。
3日目 阿尾港(和歌山県)から椿泊港(徳島県)
海上気象予報では、風はS、40ノットです。出航前に修理したメンスルを3ポイントリーフにして、ジブはストームをセットします。
阿尾湾を風上側に沿って外海へでると、早速大きなうねりが襲ってきます。しかし風向が予想と異なりSSEなので、ビームリーチで快走します。
雨にかすんだ中から、ようやく伊島が見えてきました。島の風下側を回り、椿泊を目指しますが、蒲生田岬からの強烈な吹き下ろしにヨットは大きくヒールを繰り返します。ヘルムスマンは、目標を外さないようにステアリングを行うため腕に力が入ります。
予定した岸壁は風下側にあるので波が打ち寄せ、とてもアンカリングは出来ません。小さな漁港に入港して岸壁へ横付けする事にしました。アンカリングの余地が無い為です。
民宿へ着くとお風呂が待っています。夕食にはタイ、イサキ、はまちなどの天然物のお刺身が大皿に盛られてきました。とても食べきれません。修了テストが待っているため、ビール一杯を楽しむのが関の山です。
4日目 椿泊港(徳島県)から田尻マリーナへ
予定を早めて0800時に出航します。雨と強風は昨日と変わりありません。伊島を越えて北上すると、島影は全くなくなりました。DR(推測航法)で1時間ごとに現在位置を海図へプロットします。
風はさらに強まります。友ヶ島へ接近するまでは、3ポイントリーフとストームジブで持ちこたえてセーリングを続けます。加太の瀬は既に南流の最強時となりましたが、7ノット以上のスピードを保っているので、見る間に通過して大阪湾へ戻りました。
しかし風はさらに吹き募ってきたのでメンスルを降ろし、ストームジブだけでブロードリーチのセーリングを続けます。友ヶ島灯台の観測では風向S、風速19mとなっています。関空が見えてきました。もうすぐ母港です。メンスルを3ポイントリーフのままもう一度上げます。スピードアップし1700時、田尻マリーナへ無事に帰港しました。
2023年の長距離ACCコースは、メイストームが吹き荒れる4日間となりました。受講生の皆様、この経験が少しでもお役に立てば、インストラクターとして嬉しいです。
受講生の皆様、コメントをありがとうございます。
ACCのプログラムでありながら、ご指導できなかったプログラムがいくつか残り、インストラクターとしては心残りです。
天候の如何にかかわらず実施するのがACCのトレーニングではありますが、これまでのACCで遭遇した海況では最も厳しい風でした。
ズタズタに避けたメインセールは、次回に備えて特別に補強した仕様で新しく発注しました。セールクロスが縫い目から裂けにくいようにシーム(セールの縫い目)を中央に1ステッチ追加してすべて3ステッチにしました。
ラウンドバテンでフルバテン仕様にして、ファイバー入りのスライダーを装着します。
これでさらに強風に耐え、リーフを重ねてもセールのシェイプ(形状)を保ちやすくなります。
新しいセールを試しに、乗りに来てくださいね。お待ちしています。
青木先生
幸いにも2回目のACC参加となりましたが、前回は、沖縄とはいえ冬型の気圧配置による暴風で、フェリーも欠航する中、対水速度は10kt以上出ていながらも2時間近く同じ場所という対地速度が全く出ない、45°近くのヒール、という中でのトレーニングで、もうこんな中でのセーリングはしないだろうな、と思っていたのをあっさりと裏切られる、今回もまた、本船が錨泊避難し、突然のブロウによるヒールも前回越えの荒天「禍」(「下」よりこちらの方がふさわしいかも)でのトレーニングとなり、ある意味理想的なトレーニングといえ、先生のご指導により、必要十分以上に、鍛えられた気がしております。ありがとうございました。
1回目は、スピン、2回目はメインと、ACCでのセール破れとその対応もたっぷり経験できました。どのように修理されたのかも、楽しみにしつつ、また、スクールに通わせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
青木校長
この前以上の海況でクルージングできますね(^^)
あの海を乗り切った後、良い意味で中毒性を感じています。
同じ状況で船、クルーを入替えたり、シングルだったらどうかなど夢想しています。
五十川さん、そう言えるのは技術向上に努力を続けておられるからだと思います。前向きな人生素敵ですね。
青木校長、皆様お世話になりました。
スクール直後に返信したのですが、うまく送信できていなかったようで、再度、返信しています。遅くなり、申し訳ありません。
皆様、おっしゃっているように、本当に充実の4日間でした。とても楽しかったです。
強風下、目標が見えない時のステアリングやコース選び、観音開きでの帆走、ワイルドジャイブを防ぐためのブーム固定(用語を忘れました!)、セール交換やトラブルへの対処等、とても勉強になりました。ナイトセーリングで次々にやってくる本船のかわし方も迫力がありました。青木校長の指示はいつも冷静で的確で、自分の課題がとてもよくわかりました。
いっしょに乗り切った皆様と、また、乗りたいですね。
本当にありがとうございました。
福田様、コメントありがとうございます。
インストラクターの川端です、今回のGW長距離航海コースではBBCコースを担当させていただきました。
荒天下での航海となった今回のACC、受講生の皆様にとって、良いスキルアップになったのではないでしょうか…
さて、ワイルドジャイブを防ぐためのブーム固定の用語ですが、プリベンダー(あるいはジャイブプリベンダー)といいます。
お手元にインナーセーリングⅢがあればイラスト付きで掲載されていますので、復習がてらご参照ください。
福田さん
5/28のBCC③の、帰りの半分は、ACCと似たようなコース、似たような風向きでした(強さは1/4?ぐらいでした)が、そこでも、プリベンダーは大活躍でした。ここまで効果を見せられると、これは使わないとなりません。私もしっかり復讐します。
復習ですよねぇ。お恥ずかしい…
2021年7月にSBDコースを初受講、その後、BKB、BCC、CON、MWX、昨年GWのBBC、そして今回のACCと、途中ヨット購入もあり二度のプラクティスコースも受講させていただきました。わずか2年あまりで淡路島や明石海峡、友ヶ島などにも単独で行けるようになり、青木ヨットさんのおかげで充実したヨットライフを楽しませていただいています。
今回のACCコースは、いままで勉強してきた内容が、ここで統合された感がありました。最後のACCコースまで来ると、ぼんやりですが、ようやくヨットの各パーツを使って操船するという意味が、なんとなくですがわかったような感じがありました。(あくまで「感じ」だけです)
また今回のACCは、自分では絶対に選ばないであろう荒天のなかでのセーリングとなり、とてもよい経験となりました。風によるセールの選定、荒天のなかでの操船、教科書にはないルート選定などなど大変勉強になりました。けっして言葉や写真では伝えられない経験でした。
これからは少々の風でもしっかり装備を備えて出航する勇気も持てましたし(あくまで勇気だけで出航はしませんが)、仮にどこかで荒天に出会っても、びくびくすることなくストームひとつで帰ってこれそうな気持ちになりました。(気持ちだけです、あくまで)
青木先生、ほんとうにありがとうございました。また、一緒に受講された皆さん、途中船酔いなどでご迷惑をおかけしましたが、またどこかでご一緒できればうれしいです。ありがとうございました。※しかし、友ヶ島を越えたフクダさんはすごい!
青木校長、ありがとうございました。
皆様、お疲れさまでした。
椿泊のブローも楽しかったですねぇ(^^)
得難い貴重な経験を積ませていただきました。
ご縁がありましたら、またご一緒しましょう。
青木先生、20年ぶりの2回目のACCでしたが、前回の冬の沖縄に匹敵する、本船が錨泊するほどの台風並みの風と波の中で、またしても、冷静かつ的確なご指導、ありがとうございました。すごく勉強になりました。
参加者の皆様、10数年ぶりのリターンセーラーですので、何とかぼちぼちと思い出しながらの行動となってしまい、ご迷惑をおかけいたしました。
夜間荒天の中、本船2隻に挟まれつつタックを繰り返したこと、浸水、セール破れと修復、潮流を遡る強風高速セーリング、ほぼ真横のヒール、(そして魚料理の数々も)とても思い出深いだけでなく、もう一度遭遇してしまっても、何とかなりそうと思える、貴重な体験を多くできたことは、これからのセーリングに大きな糧になりそうです。
終了してまだ数日しか経っていませんが、また、青木先生、皆様と、一緒にセーリングをしたいという想いでいっぱいになってしまっています。
次は、地中海で。食事はもちろん、アマルフィのレストランにしましょう!
青木先生、皆様、本当にありがとうございました。
アマルフィのマリーナには、スーパーパイロットがいました。私ではとても操船できないような、狭い間隙を縫って後進し、ドッキングしてくれました。
こちらから頼んだわけではないですが、港口で操船を交代してくれました。ルールのようでした。
水先案内人?もいるのですか!?
ますます行きたくなりました。
そしてついに私にも、ACC受講中に申し込んだ、青木先生、五十川さんに次いで、日本人3人目のIPC国際証明書が来ました!
地中海域のセーリング準備万端です。
水を差すようで申し訳ないですが・・・
インストラクター(あ)もIPCを持っていますよ!(笑) (あ)
大変失礼いたしました。順位に拘らず、とはいえ、地中海での使用は、早期実現したいと思います。ご経験から来る使用方法など、よろしくご指導下さい。
あ、いいの、いいの。
ブログが盛り上がれば、それで楽しいので。(笑) (あ)
盛り上がりました?
私も嬉しいです。